

















出会ったのは6年くらい前。
独特の重低音を鳴らした爆音のバイク。
自分の生まれた年と同じ年式のハーレーに乗って現れた。
明らかに周りの目をひく風貌。
人を引き付ける空気。
口から出る言葉は旅や夢やバイクの話。
ある日彼は可愛らしい女性を連れてきた。
それからは遊びに来てくれる時はいつでもその女性が隣にいた。
まるで我が子を見守るように彼を見つめる眼差しは、
自由奔放に生きている彼に、なくてはならないものになった。
「結婚する」
その台詞は失礼ながら彼にはすごく似合わない言葉だった。
隣にいる彼女はそんな彼を相変わらず優しく見つめていた。
とても良い式だった。
和やかで、温かくて、陽だまりの中で行われたその式は、
涙よりも笑いがよく似合う式だった。
「彼女をこんなに素敵に、立派に育てて下さってありがとうございました。」
口ベタな彼が彼女のご両親に向けて言った言葉。
素直すぎて、彼らしすぎてなんだか泣けてきた。
彼女のお父さんは泣きながらギュッと彼女の手を握った。
大きくなった娘は優しい笑顔で父親を見つめていた。
彼の名は『坂口君』。
またの名を「ストローカー坂口」。
たった一人で工房を開いて生活している革職人だ。
引き出物の中には、イニシャル入りの革のキーホルダーと革のコースター。
一つ一つ手作りで作られたそれらは、
誰が手にとっても彼の心が伝わるものだった。
『本日はおいそがしいところ 私たちのためにお集まり頂きまして本当にありがとうございます
こちらのレザーコースターとキーホルダーは
私たち二人で一つひとつ製作させていただきました
キーホルダーにはご列席者様のお名前のイニシャルを刻印させていただきました
使えば使うほど味の出てくる革の風合いをお楽しみください 坂口 純・久美子』
今まで一人だった彼の名前の隣には、
新たな門出として愛する人の名前が添えられていた。
坂口君・くみちゃん、本当におめでとう。
追記:参列者の男性はほぼ全員バイク乗りでした。おそるべし、坂口パワー。
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これからもよろしくっす!!!